気軽に楽しむブリーディング
ブリーディング(繁殖)といっても、特別に難しいことはなく、基本的に成虫を飼うのと同じ方法で、ケージ内に産卵のための材やマットを多めに入れればよいだけだ。難しいといわれる種類でも、本当に管理が難しい種類は少なく、たいていは材やマットの好みがうるさいだけで、管理はそれほど変わらないもの。
気軽にブリーディングを楽しもう。
ブリーディングに合わせた用品を選ぶ
エサは、ブリーディング用と銘打った、高タンパクゼリーがたくさん市販されているので、そういったものを与えればいい。
メスはたくさんの卵を産むために体力をかなり消耗してしまうので、品質のよいものを与えたい。
また、ケージも飼育用と変わらないが、材やマットをたくさん入れるので、深い容器がベターで、なるべく大型のケージのほうが有利だ。
産卵用の材を選ぶ
単に材と呼ばれることが多い。一般的には、シイタケ栽培に用いられたホダ木を、ケージに入れやすいように20センチ前後にカットしたものがショップで売られている。これは、多くのクワガタが好む白腐れという状態に近いため、産卵には適するが、キノコを収穫した後のホダ木がほとんどのためか、幼虫の飼育には向かないようだ。
樹種によって、クヌギ材、ナラ材、ブナ材などに分けて市販されている。
ブナ材がもっとも硬いが流通量がやや少なく、オオクワガタなど硬い材を好む種類にはクヌギ材がよく使われ、ヒラタクワガタやパプアキンイロクワガタなど、やわらかい材を好む種類にはナラ材がよく使われている。
産卵用のマットを合わせて選ぶ
ブリーディングセットに用いられるマットは、産卵形態によって役割が変わってくる。材にしか卵を産まない種類の場合、マットは産卵に直接は必要ない。しかし、親虫が落ち着いて産卵するために潜る、隠れ家的な役割と、材の乾燥を防ぐ役割がある。そのため、安価な昆虫マットでも大丈夫ということになる。
一方、カブトムシやネブトクワガタなどのように、マットにばらまくように産卵する種類の場合、普通にマットを入れても、親が気に入らないと産卵しない。また、マットが幼虫の最初のエサともなるので、発酵が未熟で途中で高温になったりするようなマットでは、幼虫が死んでしまうことがある。そのため、それぞれに適した発酵マットを使用する。
特殊な材で効果を上げる
やや特殊で高価な産卵材として、霊芝というキノコを植えたレイシ材、カワラタケを植えたカワラ材なども市販されている。また、自然にできた枯れ木にカワラタケが繁殖した天然カワラ材などもある。
こういったやや特殊な材は、オウゴンオニクワガタのような産卵、繁殖の難しい種類をブリードする場合や、材飼育といって、自然に近い状態で飼育し、形のいいクワガタを育てる場合などに使われている。